私は台湾に住み、ある程度中国語(北京語)を話せる以外は、本当に普通の人です。台湾で働く方法について、正直私からアドバイスできることは何もありませんが、ここでは私や周囲の経験を書いてみたいと思います。

夢と現実の両方をしっかり見据えることが大事

未来を予測することを「雲をつかむようなもの」という言い方があります。未来というのは常に流動的で、本当に雲をつかむようなものなのですが、長年努力すると願い叶ったりすることもあり、簡単に諦めてはいけないなとも思います。私が今台湾で働いていることは、10年以上前の自分自身では全く予想できないくらい、遠い遠い目標だったことを思い出します。

とは言いつつも、良く頂戴する「どうすれば台湾で働けるようになりますか?」という質問に対しては、余り楽観的なお返事をしないことが多いです、普通に考えると色々大変で、「夢」の一言で片付けられる単純な問題でないことを痛いほど実感しているからです。

日本人と言うだけでは給料はもらえない

まず現地採用の道ですが、台湾にいる日本人で例外的にお金をもらえるのは働いて稼げるのは「芸がある方」のみで、日本人というだけでは給料は期待できません。たとえば現地採用として台湾にいながら給料をいっぱいもらっている日本人にはこんな方がいます。

  • 台湾の半導体・液晶製造会社の技術顧問
  • 欧米系企業の社員(もちろん英語も実力もバリバリ)
  • 台湾起業成功者(もちろん「老闆(ラオパン)」)

まずは日本で働くのも悪くない

もし「芸」の部分で自信が無いのであれば、特に学生の方は、まず普通に就職して日本のサラリーマンを経験し、社会人としての基本や会社の運営の実際を間近に見ることをおすすめします。

当たり前ですが日本人を一番必要としているのは日本の会社なのです。上手くいけば駐在員になれるかもしれませんし(数年で帰らなくてはいけませんが)、少なくとも年金・保険、住宅手当、交通費支給など、日本の会社の待遇を捨てる覚悟を冷静に持てると思います。

ずいぶん昔の話ですが、私も学生時代に北京に留学した後、現地採用として北京に残るか悩んだことがあります。結局日本で普通に就職してしまい、かつほぼ毎日終電で帰るような忙しい数年間を送りましたが、実はこのときに学んだことが後に活かされています。その当時はその経験の価値が余りわかっていなかったのが未熟だったと反省しています。

お客さんとして台湾に行くのとは違う

大企業からの派遣や旅行、留学など(いわゆるお客さんの身分)と違い、本当の外国人労働者として台湾に住む場合、本当に保障がありません。不当解雇に対しても強く言えないでしょうし、そもそも解雇されたら台湾の在留資格も確保できません。極めて不安定な位置であることを認識する必要があります。

台湾で働きたい方は色々なリスクについて再考してみてください。そして、リスクをどう感じ、どう処理するかは他人に相談することではなく、ご本人の決断にかかっていることを忘れないようにしてください。ビジネスには勢いも必要ですが、まずは色々なリスクとも向き合う覚悟がないと後悔すると思います。

あなたの覚悟はどのくらいですか?

台湾でも日本でも路上生活者を見かけますが、見る度に「明日はわが身かも知れない」と思います。少なくとも私はそのくらいの危機を身近に感じていますし、それを覚悟で台湾で起業しています。私の周囲の台湾起業仲間も同じくらいの厳しさがあるはずです。

私はまずこの危機から少しでも遠ざかるために一生懸命仕事をしています。悩んでいる暇があったら手や頭を動かし、次に何をしようか考えるようになりました。幸い私には上司がいませんし、決断したことはすぐに実行に移せます。私にとってはもはや悩むことすら贅沢なことなのです。

でも第二次世界大戦後で荒廃した日本で事業を興した先達に比べるとまだまだと思います。私が今悩んでいるのは平たく言えば資金の問題だけですが、先達は資金もない、物資もない、ルールもまだ整備されていないという無い無い尽くしの中で頑張ったわけですから・・・

※2012年3月18日の記事に加筆しました。

(2013年10月31日 更新)

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