日本の会社が台湾に進出する場合は子会社(子公司)を作る以外に、もっと簡便な方法として、日本本社から直接台湾に支店(分公司)を出すという方法があります。今回は子会社設立と比較しながら支店開設について見ていきましょう。

手続が比較的簡単

会社を作る場合は、会社登記前に外国からの投資に関して「投資審査委員会」の事前審査と資本金振込後の確認を受ける必要があります。台湾に支店を作る場合、「投資審査委員会」への手続は不要となり、手続が比較的簡単です。

まずは日本の本社を「認許」してもらう

まずは台湾で法的行為を行う当事者として日本本社の存在を確認し、法的行為を行うことにお墨付きをもらう「認許」という手続が必要になります。

台湾の政府機関には当然日本の会社の登記資料などはありません。よって日本の会社登記簿謄本(記載事項証明書)を台湾の在日外交機関で確認(認証)してもらい、それを元に台湾政府に申請することになります。

訴訟・非訴訟代表人

この「認許」の際に「台湾国内での訴訟・非訴訟代表人」を選任します。「非訴訟」とは聞き慣れない言葉ですが、裁判所が通常の訴訟手続によらず簡易な手続で処理・判断をする事を指します。

平たく言えば「台湾国内での訴訟・非訴訟代表人」は台湾国内での法的事項に関して日本本社を代表する人ということになるかと思います。ちょっと長いので以降は「代表人」と呼ぶことにしましょう。「代表人」は台湾非在住の方でも構いません。

支店の設置

通常先述の「認許」と同時になることが多いですが、日本本社の取締役会など正当な手続で台湾支店開設が決定された証拠(議事録の写し)などを提出して、支店の設置について認可を受けます。支店業務の責任者として「支店長」を選任します。

「支店長」は支店業務の責任者として台湾在住の方でなくてはなりません。日本人の方が支店長になる場合、新支店を開設し次第、労働許可を取り、台湾に在住することになります。

ちなみに支店なので資本金はありませんが、それに相当する概念として「營運資金(運営資金)」があります。これは日本より送金することになります。

台湾営業拠点の名称

日本の会社の支店の場合は「日商XXXXX股份有限公司YY分公司(日本XXXXX株式会社YY支店)」と必ず日本の会社であることを示す「日商」+「日本の会社名の中国語訳」+「支店名」の形式にする必要があります。

ちなみに「香港商」「美商(アメリカ)」「英屬維京群島商(イギリス領バージン諸島、タックスヘイブンで有名)」など他の国・地域も当然あります。

本社への利益の送金は自由

支店と本社の決算は合算され、支店から本社への利益の送金も自由です。子会社の場合は日本本社は株主として配当を受けることはできますが、配当収入に対する台湾の所得税(源泉徴収)がかかります。

中小企業の場合、台湾子会社との連結決算より、台湾支店の方が経理実務上も簡単ではないかと思います。台湾国内の支店の活動に関する部分には台湾の税金が発生しますが、これは日本の所得申告の際に費用として控除することができます。

留意点

支店はあくまでも外国法人扱い。台湾の法律に基づいて作られた会社(台湾法人)ではないので、各種優遇措置が受けられない場合があります。また一部業種、例えば旅行業などは子会社でないとできません。

また子会社と違い、支店は本社とは同一法人と見做されます。よって本社の定款の事業目的以外の事業を行うことは出来ませんし、支店で負った負債などのリスクを切り離すことも出来ません。

ただ普通に商売する上では支店であることで受けるデメリットはほとんどないと思います。実際海外から台湾への進出に良く活用されている組織形態です。もし不都合が出てきたら子会社に切り替えることも可能です。

(参考資料)

(2014年9月20日 更新)

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